星のない夜

学生でも徒然なるままに。

進路希望を宙に投げる

 

 

 

ずっと、アイドルになりたかった。

 

 

きっかけは間違いなく自らがアイドルオタクになったから。男性アイドルも女性アイドルもずっと大好きだ。

元々小学生では読者モデル活動をしていて、それは楽しかったのを覚えてる。笑顔を作るのは苦手だし媒体の写りは死ぬほど悪いし友好関係築くのとかダルいし母親の着せ替え人形状態なので着たい服とは限らなくて泣いたりもしてたけど。とにかく、あのキラキラ空間にいる私が好きだった。ランウェイはすごく楽しかった。この時だけは私しかいなくて自分が注目されている。一般のプロのモデルならどう洋服を見せるかが重要であることは間違いないけれど、小学生の私にはどうだって良かった。生中継の番組、雑誌の取材、オーディション、ランウェイのレッスン。全部、普通の小学生じゃ味わえない経験だったと思う。けど、当時の私は特に固執することものめり込むことも無く中学生になる前に辞めた。何にもならずに辞めた人は珍しいと思う。私の周りは皆、事務所に入ったりアイドルになったりした。成長過程で辞めている子も勿論いるけど、あの時から7年以上経った今でも、やっている子は大勢いる。

アイドルにハマったのはモデルを辞めてから。アイドルを見てから、「あんな人になりたい」「あんな風に輝きたい」「あんな風に誰かを支えたい」「あんなスポットライトの光とペンライトの光を見たい」そう思うようになった。中でも、ペンライトの光の一部であるファン側の私は、ペンライトに囲まれる空間に行ってみたかった。初めは、ハマっているアイドルのグループに入りたいと思った。1番自分が支えられてきたものに。男性アイドルでさえもなりたかったけど、性別は越えられないから諦めた。

 

私は元々、誰かを助ける職業に就きたかった。

これはずっと。

小中学生の時は、教師になろうとした。教師は、私が1番支えられた職業のひとつだから。アホみたいな先生も多いけど、いい先生だって勿論いる。そんな先生になりたいと思った。私は国語が好きだったから国語教師になると親に話した。親からは否定された。

「国語は何が難しいか分からないから教えられないよ、やるなら数学にしなさい」

「勤務時間も長くて大変だし儲からないよ」

「お父さんのやってる薬剤師の方がよっぽどいいよ」

「そもそも子供の世話なんかしたらイライラしちゃうよ貴方なら」

1回も納得されなかった。母親は元モデルのクセに、今は専業主婦のクセに。反論できなかった。当たってたから。だってそれは紛れもない事実だから。

 

高校生になってから、ラジオパーソナリティを目指そうとした。元々話すことは好きだし、誰かの心に寄り添えるラジオが、私は大好きだ。しかし母から言われたのは、

「話すことじゃなくて聞くことが大事なんだから、あなたには向いてない」

「そもそもそんなに儲からないでしょ」

「安定してなくて大丈夫なの?」

それからこんなことも。

「計算とかは得意なんだから、資格取って公認会計士になればいいんじゃない?」

「公務員とかも向いてると思うよ」

 

自分には「安定感」が重要であることだって、この頃には分かっていた。だから否定出来なかった。基本的に不安定なメンタルの持ち主であることも、安定感が無いとすぐ不安が大きくなってしまうことも、元々ある程度裕福な家庭に育ったから贅沢な物を好んでしまうことも、私のオタク代がある程度の出費で、それが私にとってとても重要であることだって。だからまた、否定出来なかった。そんな自分も嫌だった。それだけ意思の固い自分にも嫌気が指して、この頃から進路という言葉が大嫌いだ。

 

それから、母に勧められてなんとなく納得した、アナウンサーを目指そうとした。母も「これなら会社員だから安定した仕事目指せるし、貴方がやりたいこともこれで出来るでしょ?」「1回アナウンサー挟んで独立してからラジオやったって遅くないわよ」と言われた。

あれ、私がやりたいことってなんだっけ。

私は、誰かに影響力を与える仕事がしたかった。安直に芸能界に入りたいわけではない。勿論入りたいという気持ちは割と心の底からあるけれど、それが論点じゃないことは私の心の中では明確だった。これを言ってしまうとアナウンサーの皆様に失礼極まりないのだが、アナウンサーは番組の速やかな進行と適切なメッセージが重要なわけであって、「私という人間が」「私という人間として」誰かに影響力を与える機会というのは少ないイメージである。

 

勉強なんてめっぽうごめんで出来ることならあまりやりたくないという主義という意味では、私と母はそっくりだ。

けど、違う点だってある。

貴方みたいに偏差値低くない。正直言って、世間的に見ればかなりいい。私は思ったことないけど。

貴方みたいにメンタル強くないの。だからそんなに強い意志を持てない。やりたいことなんて見つからない。

貴方みたいにやりたいことが見つからないことを許容できる性格と時代じゃないんだよ。大学行きたくないからって大学行かないで自分探ししている余裕なんて私にも時代にも、もう無い。はやく、はやく前に進まなくちゃいけない。なのに、なのに、なのに、、、、、

 

私は、アイドルになりたかった。

中学二年の夏、打ち明けた私に母は、

「やりたいようにすればいいけど、アイドルは期限付きだよ」

「終わったあと貴方はどうするの?」

と言った。

 

ねえ、けどね、私は覚えてるんだよ。

私がモデル時代の子の話をしている時、

「アイドルはバカな子がやるものなんだよ」

「モデルなんて大学生になったらいくらでもできる」

「アイドルなんてやってるから人生狂うんだよ」

これが、

本当に、

私がアイドルになれない理由。

 

 

 

 

今年の夏に申し込んだ、乃木坂46オーディション。

あなたは容認してくれましたね。

受からなかったけど、その後別のオーディションに申し込む勇気が、私には無かった。

 

だって、貴方の言葉が脳裏にまだ焼き付いているから。

きっと貴方は、大手で有名で安心感のあるオーディションしか許してくれないでしょう?

そんな思いを持ってしまった私は、これ以上夢を追いかける勇気はなかった。

だから私って、中途半端なまま生きていくんだなーって感じてしまった、夏だった。

 

 

 

 

10月。

進路希望調査が始まる。

 

自称進学校に通う私の進路は

やりたいことなんてひとつも無い私は

やりたいことの見つけ方を忘れた私は

中途半端な気持ちしか持てない私は

夢見がちな少女となってしまった私は

 

 

 

一体どうなってしまうのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

マイク代わりのリモコン握りしめながら、

このブログを終わろうと思う。